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《CAS決定文要旨》
*2008年5月27日に開催された我那覇選手弁護団記者会見資料より

《注目すべきCAS決定文の要旨》

*決定文は、全25ページ、51の項と主文からなる。

(1) 点滴についての双方の主張
後藤医師は、本件では、経口摂取が困難であり、かつ、仮に我那覇氏が無理に飲料を経口摂取できたとしても下痢のために水分が摂取されないという状況であったため、当該脱水症状には点滴が必要であってその他に有効な代替治療はないと判断した。・・・大西医師(我那覇選手側の専門医証人)は当該見解を支持した。一方、・・青木医師は、点滴は当該状況下では必要なかったと述べた。レフォー医師(Jリーグ側の専門医証人)は、12−24時間何もしないで待つというのが適切な治療だったと述べた。我那覇氏側は、現場の医師は、症状が悪くなるまで待つということはできないこと、そして、我那覇氏は、前の金曜日以来ずっと下痢を患っていたと主張した。青木医師は、2007年1月21日のJリーグチームドクター連絡協議会において、生理食塩水にビタミンB1を加えるという治療を容認すると認めた。
青木医師は、パネルでの証言においても、患者が中等度の脱水症状にあれば、点滴は適切であると改めて証言した。・・両当事者の間の争いは医療行為の問題に絞られており、我那覇選手が何かすべきであったとか、何かすべきでなかったというような争点はなかった。(40項)


(2) ボート連盟の事例等とは異なること、医師による医療行為であったこと
 本事件の状況は、2008年1月14日のFISA[国際ボート連盟]ドーピングパネルのリトビンチェフ事件等の状況と全く異なる。本件静脈内注入は、適切な診療施設において、選手が患者として医師へ治療を求めるという通常の過程でなされたものであり、治療と同時に医療記録が作成され、その記録は本件聴聞の際に提出可能であった。(41項)
 本件の医療行為は、医師によって、医師のプロとしての[専門的な]診断に基き、治療の一環として選手に対して治療を行い、これと同時に適切な医療記録が医師によって作成されたものであることが、明らかである。(42項)


(3)正当な医療行為であったこと、いかなる制裁にも値いしないこと
本パネルは、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)2007年規程に照らすと、本件静脈内注入は、以上すべての本件の具体的な状況の下で、正当な医療行為に該当することを認める心証を持つことができる。(47項)
(願う会より:CAS判断の根幹をなすこの部分の英文をJリーグは誤訳しています)

 まして、Jリーグのドーピング禁止規程5条1項は、「選手に対し・・・制裁を科すことができる」と定めているだけで、全ての違反に対して制裁を科すという義務はないのであって、制裁を科す権限を与えられているだけである。(48項)
 本パネルは、本件において、証拠及び両当事者の互いの主張並びに証人の証言を詳細に評価した結果、我那覇選手に対しいかなる制裁も科されるべき事案でないことから、違反があったかどうかについて判断する必要すらないとの結論に達した。我那覇選手の行為は、いかなる制裁も科されるに値しない。(48項)


(4) Jリーグが適切な医療行為の基準について適切な説明や処置をしなかったこと
 青木医師[Jリーグドーピングコントロール委員会委員長]が2007年1月の協議会でした説明は、十分明確ではなかった。Jリーグは、実体規定についても手続き規定についても、正当な医療行為か否かを決める詳細な条件を明確にするための適切な措置を講じなかったのである。(48項)


(5) Jリーグが制裁処分にあたり我那覇選手に適切な手続き保証をしなかったこと
 [5月1日の事情聴取の]内容に相違がないか確認するように求めるとともに、2007年5月7日のJリーグアンチ・ドーピング特別委員会によって制裁案が決定されると連絡する・・メールとその内容は、我那覇選手を名宛人としておらず、また、我那覇選手に交付されなかった。(27項)
 5月7日の会議があることを・・・我那覇選手は知らなかった。(28項)
 5月10日付けの通知書は、[川崎フロンターレ宛のものだけあって]我那覇選手宛のものはなく、同選手には送られなかった。(29項)

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